有名YouTuberらの影響力もあって、今や社会に完全に浸透し、なくてはならないサービスとなったYouTube。自分で動画を作成してアップロードするだけでなく、YouTuberや企業の依頼を受けて動画作成・編集を行う動画クリエイターも増えています。
この記事では自分で撮影・編集した動画を素材として販売する方法について紹介します。上手く実践すれば副業として稼げるかもしれません。
目次
自作の動画素材を販売する方法
自作の動画素材を販売するには、下記のような販路が考えられます。
ストックフォト(ムービー)サービスを利用する
まずは既存の動画素材販売プラットフォームを利用する方法です。すでにサービスとして確立されており、自分で集客する必要がありません。複数のストックフォトサービスから気に入ったものを選んでアカウントを作成しましょう。
「需要のある素材」さえわかれば、それらをアップロードするだけで作業は完了するので、動画素材を大量に作成してニーズを探りながら販売するやり方が王道です。動画素材があれば、集客不要ですぐに始められるのでお手軽です。
ただし、販売手数料を支払う必要はあります。サイト上に大量にアップされ続ける動画の中に自分の作品が埋もれて選ばれづらいこともありますし、サービスによってはその厳しいルールに縛られてしまう可能性がある点もデメリットといえるでしょう。
自身のサイト上で販売する
ストックフォトサービスの集客力を借りずに自分のサイトで販売する方法もあります。すでにブログやECサイトを運営していて、ある程度アクセスがある方におすすめです。
ブロガーやインフルエンサーとして一定のファンが付いているのなら、新たにそういったサイトに登録するよりも売りやすいといえるでしょう。手数料がかかりませんし、値決めも自由です。
ただし購入者とやり取りをしたり、決済手段を自分で用意したりする必要があります。銀行振込にしてもらうのか、カード決済用のサービスを自分のサイトに導入するのかなど、取引の枠組みを作るまでが煩雑なので、動画販売をすぐにスタートするにはややハードルが高いのが欠点です。
SNSなどを利用して直接購入したい人とやりとりして販売する
3つ目がSNSの利用です。基本的な方針は自身のサイトと同じですが、集客経路が異なります。主に検索エンジンから集客する可能性が高いブログに対して、SNS上から集客するのでSEO(検索エンジン最適化)対策があまり必要ありません。
SNSの場合、多くのサイトやブログと違ってフォロー機能があることが特徴です。いったんフォローしてもらえばフォロワーのタイムライン上に自分の投稿が表示されるようになるので、能動的にそのサイトを開こうとする必要がありません。フォロワーが受け身の状態でも接触機会を増やせる特性があります。
つまりSNSではフォロワーが多ければ多いほど商品やサービスを販売しやすくなります。
ただし決済手段についてはサイト販売と同様に自分で用意する必要があります。自分自身が購入者とやり取りする必要があるので時間がとられる点は同じです。
動画素材を販売できるストックフォトサービスとその特徴
ブログやSNSを利用していない場合、動画素材販売を始めるならまずはストックフォトサービスを使ってみましょう。ブログ、SNSアカウントを育てる必要がありません。
Adobe Stock(アドビストック)
PhotoshopやPremiereなどの画像・動画編集ソフトで有名なAdobeのストックフォトサービスです。世界中の映像クリエイターが利用しているため、圧倒的な知名度・集客力があります。1ダウンロードごとの単価も高めです。
また「Adobe Stock Contributor ユーザーガイド」が非常に充実しており、多くの動画投稿者向け学習コンテンツから学ぶことができます。動画素材販売を始めるなら一通りチェックしておくと効率的に取り組めるでしょう。
Shutterstock(シャッターストック)
Shutterstockもまた世界中にユーザーを持つ巨大プラットフォームです。過去15年間で約10億ドル(約1,000億円)以上の報酬を動画投稿者に支払っています。
また寄稿者(動画投稿者)アプリが用意されているので、スマホで撮影した動画をそのままアップロードできます。旅行先で絶景などを撮影した際、そのままそれを素材として販売することができ、撮影から編集、販売までスマホ一つで完結させることが可能です。
MotionElements(モーションエレメンツ)
MotionElementsも世界規模のストックフォトサービスです。特筆すべき点は自動キーワード翻訳機能。グローバルなプラットフォームで活動するには、英語対応は欠かせません。サイト内検索で見つけてもらいやすくするため、複数のキーワードを盛り込む必要があります。翻訳機能は非英語話者には役立つでしょう。
売上の進捗をモニタリング出来る管理画面も見やすく、使いやすいプラットフォームだといえます。
PIXTA(ピクスタ)
7,020万点以上の素材を扱う(2022年1月時点)PIXTAもおすすめできるプラットフォームのひとつです。「写真販売ガイド」という素材販売者向けのページが用意されており、初心者に親切な作りが特徴です。
画面の指示に従って手続きすれば簡単に登録を済ませられますし、審査の手順や支払いのシステムについても詳細な解説があります。取り組む前に一通り読んでおくと、動画素材販売の具体的イメージが膨らむでしょう。
Vimeo オンデマンド
Vimeoは世界中に利用者を2.3億人以上かかえる巨大プラットフォームです。販売価格から手数料を差し引いた90%が動画素材販売者に支払われており、高い還元率が特徴です。
また学習コンテンツも充実。Vimeo Video Schoolでは映像クリエイター向けの記事が読めますし、ニュースレター(メールマガジン)も用意されています。アーティスティックな動画を販売するのに向いているでしょう。
動画販売をするうえでの注意点
無料で登録できて、しかも動画編集者のための学習コンテンツまで用意してくれているストックフォトサービスですが、無制限にありとあらゆる動画を販売できるわけではありません。
投稿した動画が販売されるまでに審査があるからです。同一の素材を大量にアップロードするのはサイトのストレージを圧迫しますし、低品質な素材ばかりが大量にストックされていると、利用者の評判が悪くなります。
また審査にパスできるクオリティの動画を大量に用意できたとしても、ひと月に30本まで、といった具合に上限が決められているサービスもあります。動画を大量に用意して投稿すれば売れる確率も上がる、という方針は成功率が低いといえるでしょう。
売れる動画とは?
自分が良い!と思う動画よりも動画編集者にとって需要がありそうな動画を用意したほうが稼ぎやすいです。
例えば富士山などの山頂から絶景を撮影したとしても、すでに同様の絶景動画は大量にあるので埋もれてしまいがちです。しかし絶景ではなく、木の葉がはらはらと舞い落ちている動画を作れば、素材として動画編集のニーズが見込めるかもしれませんし、画面切り替えエフェクト動画やイントロ動画などを大量に作れば、動画編集者に使ってもらいやすくなるでしょう。
動画は、基本的に素材だけで完結するのではありません。何か別の目的を持った動画の一部として馴染む「素材」であることを意識しなければ、独りよがりになってしまうでしょう。
また一部の動画素材は無料で提供されているので、無料素材で済んでしまうような動画は売れづらいといえます。プラットフォームに登録されている無料動画を一通りチェックしてから、需要がかぶらない動画を用意しましょう。
動画のクオリティにこだわりを持つのは大事ですが、動画販売で稼ぐには何よりも需要のある動画を用意することが重要なのです。
動画販売を副業にして稼げるのか
動画のニーズが高まっている以上、動画素材販売もまた右肩上がりのマーケットであることは間違いありません。実際に1,000億円以上を投稿者に支払っているプラットフォームもあることですし、稼いでいる投稿者がいるのは事実です。
しかし注意点のチャプターで述べた通り、外出先の絶景や面白動画を撮影して、それをサイト上に投稿して販売開始したらすぐ売れる、というイメージを持っているのであれば、それは間違いであるというのも確かです。
つまりは購入者の気持ちになって動画を用意するのが重要であり、動画販売というネットビジネスにおいても結局は「商売の王道」に立ち返ることが成功の秘訣だからです。究極的にはクオリティにこだわるよりも、素材として使ってもらいやすいものを用意することに尽きるといえるでしょう。